人気再燃!巨大レトロフューチャー・タウン、熱海の魅力~素敵なシーンウォッチング110

これまで様々な素敵なシーンをウォッチしてきたシーンウォッチャーズですが、今回はこれまでにない最高のスケール、街全体という広範囲で取材をした熱海です。では、なぜに熱海なのか?今、熱海が‟熱い”観光地だからなのです!

「名前の如く、それは温泉があるからだろー」と何処からともなく揚げ足を取る声が聴こえてきましたが、いやいや百聞は一見に如かず、疑う人は是非とも今回の‟素敵なシーンウォッチング”のレポートを信じて熱海に足を運んでいただきたいと思います!では熱海取材第一弾をお送りします。

熱海の魅力は静岡の最東端に位置し、東京から新幹線でわずか40分なのに日本を代表する温泉地を満喫できることにあります。開湯は約1500年前に遡り、仁賢(にんけん)天皇の時代が起源とされています。源泉数は503カ所あり毎分1300リットルを越える湧出量(ゆうしゅつりょう)で、泉質も弱食塩泉(じゃうしょくえんせん)、単純泉、塩化土類泉(えんかどるいせん)など多様。生粋の温泉マニアも納得できる良質な温泉場なのですが、熱海の魅力は実は温泉だけではないのです。

熱海は古くから知られている景勝地で、江戸時代は徳川家康に愛され、明治以降も多くの文人墨客(ぶんじんぼっかく)が訪れた歴史ある温泉地ですが、近年は都会に近いリゾート地として様々な進化を遂げています。その象徴的な場所がサンビーチから南に続く親水公園です。熱海市が北イタリアのサンレモ市と姉妹都市であることや、地形と街並みが似ていることから、地中海北部のリゾート地のイメージで整備されました。南欧のコートダジュールをイメージした‟スカイデッキ”や北イタリアのサンレモ・リヴェラ海岸をイメージした‟レインボーデッキ”、渚小公園(なぎさしょうこうえん)とペデストリアンデッキ(自動車道路と立体的に分離した歩行者専用通路)で結ばれたエリアは、南イタリアのナポリ海岸をイメージしてデザインされたそうです。こういった新しい熱海のイメージ作りが功をなしてか、若い世代に旧熱海のイメージからの脱却が起こっているのです。

熱海市の統計によると熱海の宿泊客数は、1991年度の440万人をピークにバブル崩壊を経て大きく減り続け、東日本大震災の起こった2011年度には246万人まで落ち込みました。その後2013年度には287万人まで回復し、2019年の市内宿泊客数は311万9108人となり、5年連続で300万人を超えました。しかし、コロナ禍で2021年の宿泊客数は153万2713人で過去最少だったそうですが、ここにきて新型コロナウイルスの感染者数が減少傾向にあり、流行対策の大幅な緩和が進んだことも影響して観光客が戻って来ています。また少子高齢化を背景に人口減は続いているものの、50歳代以上の移住者は増え続けているそうです。

さてそんな熱海の魅力ですが、山がせり出すように海に迫り、そこに市街地が密集する風景が圧巻です。夜になると海岸線がより立体的になり、反射したネオンや街灯りが海に映り込み夜景が映えるのも特長です。年間を通して約18回開催される熱海海上花火大会の日は、少し山手に登るだけで花火が目の高さで楽しめるのです。また熱海サンビーチは、東京タワー、横浜ベイブリッジ、姫路城などのライティングを手がけた世界的照明デザイナー石井幹子(いしいもとこ)さんプロデュースによる、日本で初めての砂浜ライトアップもあり、昼間の景色だけでなく夜の散策もお勧めなのです。

観光名所があちこちにあり、景色が綺麗な熱海。来宮神社、熱海サンビーチ、親水公園、熱海城など挙げれば切りがなく、明治以降、大歓楽温泉として発展して怪しい秘宝館まで取り揃っています。そして漁港が多くある伊豆半島の付け根に位置することから海鮮系が豊富で、熱海港や網代港で水揚げされた新鮮な地魚など、熱海はグルメな街でもあるのです。また干物も有名で、新鮮なアジや金目鯛などを天日干している光景もよく目にします。

そんなお勧め所がいっぱいの熱海観光ですが、シーンウォッチャーズが注目したのは、他でもないグルメ&食べ歩きファン必見の駅前から2方向に延びている仲見世商店街と平和通り商店街の2つの商店街。新旧お店が入り乱れて最近出店したお店から創業70年といった老舗店など、そこいらのショッピングモールとは違った、時空を超えた体験ができます。レストラン、カフェ、すし屋、干物屋はもちろん伊豆半島の特産物が勢ぞろいして熱気があり、人があふれて活気に満ちていました。

今回の素敵なシーンは、昭和の香りが漂うレトロな風情が町全体に漂いながら、マクロで見るとあちこちに令和のデバイスが光っている、SF映画「ブレードランナー」に描かれた未来の街の様なレトロフューチャーな魅力にあふれた‟熱海”です。

撮影協力 ウオミサキホテル(伊東園ホテルズ) https://www.itoenhotel.com/uomisaki/

賑わいを見せる平和通り商店街
取材日は生憎の雨だったが晴れれば気分は地中海のリゾート(ウオミサキホテル熱海の客室より撮影)
昼間とは全く別の表情を見せる夜景
明治40年から大正12年まで、熱海・小田原間を走っていた熱海軽便鉄道7機関車が熱海駅前に鎮座
レトロなお店と新しいお店が混在する、駅前に続く仲見世商店街
看板もレトロで、横丁も昭和の風情が残っています
海鮮料理などコースで楽しめるレトロな佇まいな暖炉茶屋
待ち合わせ場所にぴったりの平和通り商店街の入口
温泉街には付き物の温泉饅頭
尾崎紅葉の小説「金色夜叉」の主人公‟お宮の松”の銅像。その後「熱海の海岸散歩する・・・」で始まる流行歌は大ヒットとなった