明日が晴れることを教えてくれる遠州灘に沈む秋の夕日~素敵なシーン・ウォッチングFIEL80

秋分が過ぎて10月になると、いよいよ季節は秋本番といった雰囲気になってきます。特別に暑い日もなければ、寒さを感じることもあまりない、とても過ごしやすい時期ですから行楽をはじめ何をするにも適した気候となり、いつしか夏が遠い昔のことだったような気さえしてきます。そして夜が早く訪れることに気づきます。

そんな日が短くなった秋は、夕焼けがきれいな季節として知られています。ではなぜ、他の季節より秋の夕焼けが綺麗なのでしょうか。秋の夕日が綺麗な理由を説明する前に他の季節の夕日についてお話しましょう。

まず、春の夕焼けはなぜ秋ほど綺麗ではないのか。春は大気中に花粉やほこりが多く舞っていて、加えて中国大陸から黄砂が飛んでくることもがあります。大気中にそうした不純物があるため、空気が澄んでいないということから夕日が綺麗に見えないのです。
それでは夏はどうなのでしょうか。夏の空気は比較的澄んでいますが、そのかわり空気中に水蒸気が多く存在します。特に日本の夏は湿度が高く、積乱雲などが出て夕立など良く降ります。水蒸気は光を反射させる要素あるので、空が夕日で赤く染まることがないのです。
冬はどうでしょうか。湿度が低く空気は澄んでいます。ですから夜景などが綺麗な季節は冬場になります。しかし夕日となると逆に空気が澄み過ぎているために、落ちて行く太陽が空と馴染まないということがあるようです。そういった状況から夕暮れが一番美しい季節は、程よく乾燥し晴れている日が多い秋ということになるのです。

では、どうして夕日が赤いのか?夕焼けが赤いのは、大気の中を太陽光線が通ると青色や紫色など短い波長の光線は分散されてしまい地上まで届かず、光の成分でオレンジ色や赤色などの長い波長の光線がより多く届くこととなります。また、日が暮れると太陽が傾くので、太陽が上空にある時より大気層が厚くなります。これによってより波長の長い色、すなわちオレンジ色や赤色がより濃くなるのです。

これから冬に向かい、色づく季節の到来が始まります。街路樹の葉も日ごとに黄色や赤色に変化し、山並が紅葉で美しく染まりだします。そんな樹木たちに負けないほどに、夕日が海に落ちる瞬間を見ることが出来る石廊崎から大王崎まで約180kmの海岸線を有する遠州灘の夕日は、色を濃くします。

山並の紅葉も綺麗ですが、一日のフィナーレを飾る夕日はそれ以上にドラマチックです。特に沈み切ってからもその余韻が感じられる水平線に沈む夕日は格別でしょう。加えて夕焼けが見える翌日は晴れる確率が高いと言われます。それは大気中の水蒸気が少なく西側の天気がいいことを意味しています。明日は晴れる!それだけでファイトが湧いてくるのは、皆同じではないでしょうか!
今回の素敵なシーンは、明日が天気になることを教えてくれる、遠州灘に沈む美しい秋の夕日です。

遠州灘に落ちる色濃い夕日
掛川市国安の菊川河口付近、夕暮れが始まる頃
太陽が雲に隠れるとあたりは一気に明るさを失います
太陽が再び顔を出すとあたりが明るくなります
雲がなくなると更に輝く夕日
太陽が傾くごとにより色を濃くする夕日
線香花火の最後の様な切なさを感じる夕日
お疲れ様~水平線に微かに残る今日最後の太陽
夕日の余韻があたりを包み込みます