富士山に向かって「あけましておめでとうございます!」 素敵なシーンウォッチング FILE40
2021年が始まりました。昨年4月からスタートした「ラジオで見る静岡」で静岡のあちこちを取材させていただき、たくさんの人々と絆が生まれたことに感謝しております。
静岡の魅力は、自然の豊かさとその豊かな恵みに育まれた人々の優しさにあります。行く先々で親切にしてもらった想い出は数知れず。故に僕たちはその豊かな感性に出会えたことで自然と影響を受けて、世知辛いこのコロナ禍の中でも下を向かずにいられたのかもしれません。
さて、今回の素敵なシーンは、雨の日も風の日も夏の強烈な陽ざしの時にも、僕たちのことを見守り続けてくれている霊峰・富士山です。
富士山は、静岡県(富士宮市、裾野市、富士市、御殿場市、駿東郡小山町)と山梨県(富士吉田市、南都留郡鳴沢村)に跨る標高3776.12mの活火山で、その美しい姿は世界中から日本の象徴として広く知られています。世界的に有名な東京タワーやスカイツリーが日本人の手で作られた最高傑作な造形物だとしても、その存在は富士山の1合目までにも及びません。比べる方が間違いなのです。僕が考える一番の違いは、この山には古くから信仰があることです。
太古から噴火を繰り返した富士山は、霊山として多くの人々に畏敬され、特に山頂部には神聖視された浅間大神が鎮座します。噴火を沈静化するため律令国家により浅間神社が祭祀され、浅間信仰が確立されました。今ではハイキング・ブームにより手軽とまではいきませんが、老若男女問わず富士登山を楽しみます。しかし近代になるまでは山に分け入ることは噴火などがあり危険とされ、山頂に近づく者はいませんでした。しかし、平安時代より富士山修験道の開祖とされる富士上人により修験道の霊場として認識され、修験の道場として繁栄してきました。また、江戸時代になると参詣登山が盛んとなり、たくさんの江戸庶民が様々な講を組んで富士山を目指したそうです。これら富士信仰は時代により多様化し、現在では富士山麓周辺には富士五湖や白糸の滝、また温泉など多くの観光名所がある他、夏季シーズンには日本国内外問わず、富士登山が人気を呼んでいます。
富士山は、日本三名山(三霊山)、日本百名山、日本の地質百選に選定されていて、1936年には富士箱根伊豆国立公園に指定されています。その後、1952年に特別名勝、2011年に史跡、さらに2013年6月22日には関連する文化財群とともに「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の名で世界文化遺産に登録されました。
僕が富士山に魅力を感じるのは、古くからあらゆるところにその姿が描かれ、政治家、文化人、そして庶民からも愛される存在であること。子供の頃、父に連れていってもらった銭湯の湯船の壁に富士山が描かれていたことは、生涯忘れないシーンとして想い出と共に鮮明に残っています。今でもそうですが、新幹線に乗って富士山が見えると車内で「富士山よ!」とうれしそうな声が上がります。
ここ何十年はパワースポットと言われ、その存在が人々に与えるインパクトはポピュラー化し認知されていますが、そもそも富士山は霊峰なのです。何かが起きたからとか誰かがいたからという、そこいら辺に転がっているようなパワースポットでなく、地球誕生から地殻変動、そして大陸移動があり太古の計り知れない変遷から生まれた由緒正しい、神様が作り給えた最高傑作なのです!
今回の素敵なシーンは、「ラジオで見る静岡」は元より静岡、そして日本を見守り続けてくれている霊峰・富士山です。