DESSERT MUSIC #40

New Year’s DayU2 (1/4 オンエア)

2021年の新年は、これまでのいつもの新年とは違う、新たなる新しい年と言えるでしょう。一昨年、中国・武漢で発生し、全世界で8000万人の感染者、そして180万人の死者を出した新型コロナウィルスに真正面から立ち向かう勝負の年です。正直に言って、世界的戦火のお正月と言えなくもないのです!

日本のお正月を振り返ってみると、今年ほどシリアスな状況だったのは約80年前の戦争の頃でしょう。終戦後、日本は未来が見渡せないくらい壊滅的な状況にありましたが、それでも持ち前の精神力を発揮し飛躍的な復興を遂げました。しかし、今回のコロナ禍は、ワールド・ウォーと言っても相手は目に見えないウィルスであり、今やっと相手の正体が分かり始め対応策を見出したところです。

今回のデザート・ミュージックは、アイルランド出身の世界的なロックバンド U2の1983年にリリースされた3rdアルバム『War』のリードシングルとして、38年前の1983年1月にリリースされた曲「ニュー・イヤー」です。もともとの歌詞は、ボノが妻へ捧げるラヴソングだったものが、レフ・ワレサ率いる独立自主管理労働組合「連帯」が政権を握った‟ポーランドの民主化運動“にインスパイアされた結果、戦時下の男女の感情が描写されたような意味深な表現になっています。

♪静寂に包まれた新年の始まり 白く覆われた世界が動き出す 俺は君と一緒にいたい
夜も昼も君といたい 新年の始まり、何も変わらない 新年の始まり♪


という歌詞は一見何事もないようなありふれた歌詞に思われますが、反骨精神旺盛で敬虔なキリスト教徒であるボノが“何もない新年の始まり”と歌う事自体が裏腹な表現だと考えられそうです。

昨年5月、新型コロナウィルス対策の最前線で奮闘する医療従事者の方たちに敬意と謝意を示そうと、航空自衛隊の曲技飛行チーム「ブルーインパルス」が感謝飛行を行いました。日本では、ジェット機が空を飛ぶ姿に手を振るという子供の反応はポピュラーですが、他の国はそうでなく物陰に隠れる子供たちが当たり前の国もあるのです。その話を聞いた時、そして感染拡大が止まらないコロナ禍でのお正月にU2のこのナンバーが浮かびました。

命は個人のものであり、国家のものでも地球のものでもありません。そしてその命は、たくさんの人とつながり家族を生み、地域を作り社会を形成します。やがて国家という世界が人々に手のよって動き出します。それが今、崩壊の危機に面しています。

何が恐ろしいか?それは、このような状況でも平気でウソをつく国民の代表たちの存在です。国民から選挙によって選ばれた国のトップがこれではどうしようもありません。

『ウォー』と付けられたタイトルに対し「確かに‟戦い“がテーマだ。それも、何かを壊して新しいものを築いていくためのもの。決して否定的なアルバムなんかじゃないんだよ。「ニュー・イヤーズ・デイ」は戦争と闘争の歌だけれど、でも愛の歌でもある。すべての困難に立ち向かい生き残っていくための信念についてのものなんだ。互いに愛し合うこと以上に強いものはない」とボノは答えています。

コロナ禍において気づき出している若者は多いでしょう。気が付かないのは、自分のことしか考えられない煩悩の数を超える嘘をつくようなオワコンの政治家とそれを支える人たちだということです。

新年とは新しい西暦のことではなく、真の意味で旧体制(世代)を刷新しなければ始まらないものだと痛感しています。