素敵なシーンウォッチング FILE19 〜六枚屏風の裂け目の向こうには黄泉の国が?!広がっていた!〜
草木がまるでジャングルのように生い茂り、岩肌はシダ類に覆われて一人がやっと通れる狭さ。雨が降りそうな梅雨の時期ということもあり、草木が茂る裂け目の入口は、日光が遮られ昼間でもストロボを炊かなければならない暗さ。
六枚屏風とは砂礫(しゃれき・砂と小石;地質学では粒径が2~16分の1ミリメートルのものを砂、2ミリメートル以上のものを礫と呼ぶ。16分の1以下のものはシルトという)の山が雨水等によって浸食され幅1m、高さ20m弱、奥行きは30m以上ある、岩の裂け目ができた場所なのです。
勇気を出して割れ目に入ってみると意外に狭く、両手を広げると左右の壁に手が付く幅で、割れ目の底は梅雨の時期ということもあり、沢になって水が流れ出ていました。想像に難しくないのですが、この水が長い年月によって巨石を割いたのだろうと思います。奥に進むと割れ目の上部から落ちてきたのでしょうか?古い倒木があり、それを乗り越えて奥に進むとやがて行き止まりになります。入口からおよそ30mの場所に黄泉の世界がありました!
正直、前に進んでいる時には先を急ぐ好奇心で心拍数が上がり、軽いトランス状態になっているので恐怖心はないのですが、行き止まり付近になり引き返す時には一気に悪寒が襲ってきました。冷静になると「ここで地震に合うと?」とパニックになります!!
標識も手書きのものが多く、事前の予備知識がなければ見落としてしまいそうな場所にある六枚屏風。小笠山の小笠神社からさらに山奥に入り、道幅50センチにも満たない尾根道を歩き、危険を顧みず谷底に慎重に下りて行く、その先に存在する非日常の異空間。ハイキングコースの山道から少し冒険して山に分け入り、やっとこさ見つけられた今回の素敵なシーン。いざ割れ目の中に入ると、宇宙空間に浮かぶ宇宙船のコックピットのような(体験したことはないが)圧迫感が支配する空間だったのですが、しかしその反面、DNAに刷り込まれた心裡の淵に、自然と浮かび上がる包み込まれる安心感が交差する不思議な空間が六枚屏風なのでした。
PS 小笠神社や小笠山の道標に従い尾根を行く道はハイキングコースで危険はありません。また分岐点にも標識が完備されているので迷う心配もないのですが、六枚屏風につながる谷底に降りる道は細く整備もされていない(ロープが張られている急こう配があり)ので注意が必要です。特に我々が取材した日は小雨で、カメラマン樋口は足を滑らせて、一度黄泉の国を体験しています。