世界で人気のジャパニーズウイスキーを製造する‟キリンディスティラリー富士御殿場蒸溜所”~素敵なシーンウォッチング121
今、日本のウイスキー、ジャパニーズウイスキーが世界で人気となっています。ウイスキー発祥の地はスコットランドで、日本では2014年のNHK連続テレビ小説「マッサン」の主人公のモデルとなった竹鶴政孝(たけつるまさたか)が、初めてウイスキーを作りました。ジャパニーズウイスキーは、スコッチウイスキーの流れを汲みながら日本独自の発展を遂げてきました
今回の素敵なシーンは、ウイスキー製造の行程を見学しながらジャパニーズウイスキーの本質に迫る体験が出来る‟キリンディスティラリー富士御殿場蒸溜所”です。
‟世界のウイスキー造りの技術と日本の感性を掛け合わせ、スコッチでもバーボンでもない、日本の風土や食文化に合うウイスキーを造り出す”という理念のもと、1973年、霊峰・富士が一望できる御殿場市柴怒田(しばんた)が選ばれ、ウイスキーづくりを開始されました。この地が選ばれた理由は、富士の雪解け水が時間をかけて磨かれた伏流水、年平均気温13℃という冷涼な気候、1年を通じて幾度となく発生する霧といった、ウイスキーにとって理想的な要素を備えていたからだそうです。ここでは、スコッチウイスキー製造の設備や技術導入に加え、アメリカンウイスキーやカナディアンウイスキーに用いられるグレーンウイスキーの製造技術や設備を投入し、そこに独自の蒸留技術やつくり込みのノウハウを融合させたウイスキーづくりが見学できます。
富士御殿場蒸溜所の特長は、モルトとグレーン、その両方を製造し、かつ、仕込みからボトリングまでを一貫して行っているという点でも、世界でも稀な蒸溜所なのです。
モルトウイスキーは、厳選された麦芽の麦汁を伝統的に受け継がれたウイスキー酵母を使って発酵させ、ポットスチルで蒸留します。富士御殿場蒸溜所は、理想の味を実現するためにポットスチルの形状にも拘りがありました。グレーンウイスキーは、3種の異なる蒸留器を駆使し、ライト・ミディアム・ヘビーの3つの原酒タイプをつくり分けることで、多彩なグレーンウイスキーを生み出しています。
さて、富士御殿場蒸溜所の見学ツアーでは、ウイスキー製造工程や設備の詳細に加え、環境の特長や、ウイスキーづくりに携わる職人(ディスティラー)やそのポリシーに至るまで、この富士の麓でつくるウイスキーの魅力を知ることが出来ます。見学ツアーの最後には、この蒸溜所で作られた‟キリンシングルグレーンウイスキー富士”と‟キリンウイスキー陸”を試飲することができます。仕事帰りにバーに立ち寄ってウイスキーを飲むのも良いですが、霊峰・富士の息吹を感じる場所でウイスキーの歴史と製造工程を学んだうえで、そこでつくられたウイスキーを飲むことは、味や香りを身体全体で受け止める新たな体験となるかもしれません。
冒頭でジャパニーズウイスキーが世界で人気だとお話ししましたが、丁重に作り込まれたジャパニーズウイスキーは、2009年以降、国内消費量は順調に伸び、またウイスキーの輸出も着実に増えています。輸出金額で見ると、2013年は39億8000万円(対前年比160・7%)、2014年は58億5000万円(同147・0%)、2015年は103億7800万円(同177・4%)と、対前年比で2桁の伸びを見せています(国税庁「酒類の輸出動向について」より)。この勢いは2020年まで続いており、清酒を抜いて国産酒類のトップに躍り出て、その金額は約271億円にもなるのです。
16.6ヘクタールの広大な敷地で、仕込み・発酵・蒸留・樽詰が行われ、1棟約4万本が5棟という膨大な樽が横たわる貯蔵庫を始め、熟成が完了したウイスキーを取り出しブレンドしてボトリングする設備や、50年の歳月をかけ地下深くで磨かれた富士の伏流水を地下100メートルから汲み上げる装置などを備えた富士御殿場蒸溜所。
今回の素敵なシーンは、ウイスキーという飲み物をより深い位置で味わい感じることが出き、世界に誇れるジャパニーズウイスキーの源流を知る旅を体験できる‟キリンディスティラリー富士御殿場蒸溜所”です。
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