素敵なシーンウォッチング FILE08 〜大崩海岸〜
今回の「ラジオで見る静岡」は、大崩海岸(おおくずれかいがん)をお送りします。大崩海岸は、静岡市から焼津市にかけた4㎞ほどの海岸で、海岸から急峻な山がそそり立ち、断崖に面した道路が続いています。駿河湾の海に面した鋭い崖は、やはり大崩海岸と呼ばれる通り落石や崖崩れが頻発する危険な地帯です。名前のとおりの急峻な山は台風などの度に崩落を繰り返しますが、そんな山肌をぬうように道路が通っていて崩落のつど長期にわたって通行止めになります。当然、事故が発生するので、道路は海上を迂回するようになり、線路も内陸の山の中を走るようになりました。
特に目を引くのが、崩落で使えなくなった旧道跡洞門(落石・雪崩防止のため、道路に接した擁壁を用いて設けたトンネル状の工作物)です。静岡平野と志太平野の間に位置する標高100~300mの勇壮な海岸線に突如と現れる廃墟と化した石部トンネル(石部隧道)は、海上橋が架けられて迂回する道路から見ることができます。普通なら海側の綺麗な水平線に目が向くはずですが、この崩落した石部トンネルは異様な雰囲気が漂う異空間を滲ませていて、なぜかどうしても覗き見たくなる魔力があります。崩落が多いことに由来した地名のごとく、海岸線の眼下には崩れ落ちた落石や構造物の残骸などが残っていて、この地の厳しさを物語っていました。
焼津港から徐々に坂を上り、海岸線に張り付いた危険な曲がりくねった県道(416号)を走ると、生い茂った木々の隙間からですが、富士山や伊豆半島が見え隠れします。危険地帯に走るこの道路ですが、駿河湾が一望できる潮風道路でもありました!