DESSERT MUSIC #31

「Beat It」Michael Jackson  (11/ 2 オンエア)

遠州七不思議の波小僧から連想したのは、ハワイの伝説のサーファー、エディ・アイカウ。

1946年5月4日、本名エドワード・ライアン・アイカウは、5人兄弟の次男としてハワイのマウイ島で誕生しました。23歳の時に高い身体能力を買われ、エディは弟のクラウドと共に初代ワイメアベイのライフガードとして働き出します。

ワイメアベイビーチはビッグ・ウェーブが押し寄せるサーファーから人気のポイントですが、それ故に波が大きくなると事故が多発するビーチとして知られていました。しかし、エディがライフガードになってから10年間もの長い間、海難事故による死者を出すことはなかったのです。驚くべき事にエディが救助した人数はなんと500人以上と言われています。

そんなエディですが、古代ポリネシア式の遠洋航海船「ホクレア号」の乗組員の一人として、ハワイからタヒチへの航海に出発した際にホクレア号はモロカイ海峡で転覆。助けを求めにエディは一人でホクレア号に積んであったサーフボードに乗り、真夜中の荒れ狂う海へ漕ぎ出しますが、その姿がエディの最後となったのでした。

波小僧の像がある浜岡砂丘で安全に波に乗るサーファーたちを見ていて、波小僧とエディ・アイカウがダブって見えたのでした。自然を舐めてはいけない。特に海は危険がつきもので油断すれば命に係わる…残念ながらエディは帰らぬ人となってしまいましたが、彼の業績を称えたサーフ・コンテスト“エディ・アイカウ・メモリアル”が行われています。

通称「ザ・エディ」は、1年に3ヶ月の期間内に波の高さが20ft(6m)以上になる年しか開催されないサーフ・コンテストで、1984年からスタートした大会は過去30年間で9回しか開催されていなく、残念ながら今年はコロナ感染防止対策で中止になりました。

さて、今回のデザートMですが、エディと言われて皆さんは誰を思い浮かべますか?僕は、今年10月6日に65歳でこの世を去ったヴァン・ヘイレンのギタリスト、エディ・ヴァン・ヘイレンが真っ先に浮かびました!先々週紹介させてもらいましたエレキギターの革命児ジミ・ヘンドリックスの魂を受け継ぐ偉大なギタリストで、ジミに勝るとも劣らないエレキギターを変革させたアーティストです。

 波小僧=エディ・アイカウ=エディ・ヴァン・ヘイレンと連想した流れは、誰もがたゆまぬ情熱を持っていると感じたからです。波小僧は、人々が後世に伝えたかった生きることへの情熱。エディ・アイカウは海を愛し波に乗ることに情熱を傾けました。そしてエディ・ヴァン・ヘイレンは、エレキギターを武器にロック・ミュージックの可能性に情熱を注ぎました。

 特にクィンシー・ジョーンズに頼まれて無償で参加したマイケル・ジャクソンの「ビート・イット」のギター・ソロは、後世に残る名演としてエディ・アイカウの功績と同じく、人々に大きな影響を与え続けるはずです!ちなみに「ビート・イット」は、アメリカ・ビルボード誌で、1983年4月30日に週間ランキング第1位を獲得。ビルボード誌1983年年間ランキングは第5位となりました。そして彼の手作りギター‟フランケンギター“は、アメリカのミュージック・カルチャーを変えたギターとして、スミソニアン博物館に寄贈されています。

よって今回選んだデザートMは、エディの超絶タッピング&クレイジー・アーミング奏法が聴けるマイケル・ジャクソンの「ビート・イット」なのです!