DESSERT MUSIC #49

SuperwomanKaryn White ( 3/ 8オンエア)

2021年3月3日にこの原稿を書いています。そうです、今日はお雛祭り。コロナ禍でイベントは軒並み自粛となっているので、バーチャル雛祭りになったんだろうなーと残念な気持ちにさせられます。

‟雛祭り“はいつ頃から始まったのか?歴史的には判然とせず、その起源説は複数あります。平安時代の京都で、既に平安貴族の子女の遊びごととして行われていたとする記録があり、小さな御所風の御殿、屋形をしつらえ飾ったと言われています。ですから最初は儀式ではなく遊びであり、雛祭りが‟ひなあそび”とも呼ばれるのはそのためだと言われています。一方、平安時代には川へ紙で作った人形を流す“流し雛”があり、雛人形は災厄よけ守り雛として祀られる様になったそうです。当時の乳幼児死亡率は高く、赤ん坊のうちに亡くなることは珍しくはなかったので、親としては必死の思いでこの成長を見守り、枕元には厄除けとしてひな人形を飾ったのです。そして、1年の災いを、春のひな流しで祓う。これが、ひな祭りの起源だと言われています。

小学生だった頃、僕の田舎では雛祭りの時の給食には雛あられが付いてきて、女の子のお祭りなのに男子にも配ってもらえるんだとうれしかった記憶が今でも残っています。今から半世紀も前の話で、当時は男子と女子の距離は今の何倍もあり、男女平等という理念はありはしましたが、女性の社会進出はというと重い扉があった時代です。しかし、そういったこととは裏腹に、僕が通う奈良の田舎の小学校は、男の先生より女の先生の方が若干多く、そして女の先生の方が今思えば男の先生より幅を効かせていたように感じていました。それは子供心に、家ではお父さんが強い様に見せているけど、本当はお母さんの方が強いんだ!学校は、嘘は教えてはならないところだから、女の先生の方が強くて責任があるポジションについているんだと思っていました。だからかもしれませんが、今でもその思いは変わらず、女性の方が男性より強くて優秀だと思っています。

話がひな祭りからえらく離れてしまいましたが、なぜ今回のデザート・ミュージックにキャリン・ホワイトの「スーパーウーマン」を選んだのか?それは、今回の素敵なシーンウォチングで出会った女性の存在があります。時之栖の広報担当の水口さんと源泉 茶目湯殿でアテンドしていただいた樋口さんを始め、時之栖の女性陣は見事にスーパーウーマンだったからです。この歌のスーパーウーマンとは、仕事も家事も完璧にこなす女性という意味で使われていて、時之栖の女性陣のプライベートまで窺えませんが、きっと心の奥には愛する人への優しい想いが詰まっていると感じたからです。

優しさとは人を思いやる気持ちであり、相手の立場を考えられる人だと思います。今回取材させてもらった時之栖は、訪れる人の気持ちに寄り添う優しさが感じられる場所で、それを一番感じたのが、様々な施設で取材させていただいた現場担当者の方たちの対応でした。
コロナ禍の中で、遊びに来た人たちもそうですが、受け入れる人たちも今までとは違う様々な気苦労が募っています。そんな微妙なバランスが問われる接客業。今その真価が問われるのだと思います。

そんな中で起きた大事件。オリンピック憲章の理念に反すると、世界中から批判された件で浮かび上がった日本の政治の偏った考え方。要するに、自己愛の方が勝っていて相手の立場を思いやる優しさがなかった政治が続いていた結果が、今頃になって露呈したというのが今回の本質なのです。僕も人の事なんて何一つ言える立場ではありませんが、日本の政治家の皆さん、是非この時之栖に来てスーパーウーマンたち、そして心優しいスタッフの人たちに接してください。きっと何かが変わるはずです。

今回のデザート・ミュージックは、1988年にリリースされたキャリン・ホワイトの「スーパーウーマン」です。