サボテン歴30年の名物スタッフと日本一自由な動物たち 素敵なシーンウォッチング FILE45
物心がついた頃から南国が好きでした。それは季節の中で夏が一番好きで、スイカが好きで泳ぐことが得意だったからかもしれませんが、僕の人生において南の暖かい国は今もって大きな影響を持ち続けています。
社会人になってその傾向は増すばかりで、海外旅行はハワイをはじめ、ブラジル、コロンビア、ウルグアイ、アルゼンチン、フィジー、インドネシア、そしてメキシコなど、やはり南国がほとんどです。そんな南国親父が、ハワイの次に好きな国がメキシコです。ラテンのラフでご陽気な国民性と熱く乾いた風が心を揺さぶるワイドな風土。そして何よりインパクトあるのが背高のっぽのサボテン群。当時少年だった僕に異国という言葉を植え付け、エキゾティックという感覚を教えてくれたのがメキシコの風景でした。
今回の素敵なシーンは、僕の深層心理を揺さぶる異国情緒満載の伊豆シャボテン動物公園です。しかし、なぜサボテンじゃなく、シャボテンなのか?伊豆シャボテン動物公園のホームページから引用させてもらいますが、伊豆シャボテン動物公園が開園した昭和34年当時は、どちらも普通に使われていたそうです。サボテンは漢字で書くと‟仙人掌“で、実は日本語なのです。シャボテンは音便で、鮭をサケ、シャケというようなモノで実はどちらも正解です。一説には、外国船の船員さんが、皿の油汚れをウチワサボテンで洗ったことから石けんを表す、シャボン、サボンという言葉から転じたのではないかと言われているそうで、現在ではサボテンという言葉の方が一般的になり、公園名はシャボテンで植物はサボテンと使い分けられています。
伊豆シャボテン動物公園は、名称で分かるようにサボテンと動物の二本立て。1500種類のサボテンや多肉植物とペリカンやレッサーパンダ、リスザルやカピバラをはじめ約140種類の動物たちとふれあいができる、体験型パークなのです。一日では体験しきれない広い敷地で今回お勧めするのが、大小9つの島の沿岸をボートで巡り、動物たちの観察やふれあいができる‟アニマルボートツアーズ“と世界で唯一の‟サボテン狩り“。
このボートツアーは想像を超えた楽しさで、動物ガイドを聞きながら園内の池にある島をボートで巡り、「上陸コース」ではリスザルやワオキツネザルと触れ合ってエサまであげられるという、国内動物園では唯一の特別な場所なのです。島に上陸するとワオキツネザルがエサをねだりに寄ってきて、頭や肩に飛び乗ってきます。初めて身近で見て触ってエサをあげたワオキツネザルは、サルというより少し大きめの猫と小型犬を足して細長く伸ばしたような不思議な生き物で、人懐っこくてぬいぐるみの様な触り心地にワクワクさせられます。思わずこっそり一匹持って帰りたい!という衝動に駆られたくらい、超ド級の魅力がワオキツネザル、そしてこのボートツアーにありました。
取材日は風が強い典型的な冬の寒い日でしたが、メキシコ館、マダカスカル館、森林性シャボテン館、南アメリカ館、アフリカ館のサボテンや多肉植物を集めた温室は快適な温度が保たれ、南国好きにはテンションが上がる空間になっています。そして伊豆シャボテン動物公園一押しのエリアが「シャボテン狩り工房」です。ワオキツネザルは持って帰れませんでしたが、サボテンは狩って帰れる!世界で唯一の場所なのです。しかも今回の取材では特別に、サボテン歴30年の超ユニークで心優しき名物スタッフの真鍋さんが、購入から栽培まで細部にわたってアドバイスしてくれるという、サボテン初心者には至れり尽くせりのサービスをしてもらいました。
伊豆シャボテン動物公園の魅力は、植物も動物もとても身近にある生き物だと感じさせてくれること。そして、硝子ケースに並んでいたり檻に入れられっぱなしでなく、本来の姿に出来るだけ近い飼育方法でいることで、公園内の生き物もまた訪れた人たちにもストレスを与えない気遣いが施されています。気のおけない友人やカップル、そして家族でこの空間に身を置くと、いつの間にか気持ちが軽くなり笑顔が湧いてきます。南国親父は、園内に流れるラテン・ミュージックに心軽くなり、サボテンとワオキツネザルに触れあって生きていることがより楽しくなりました。
今回の素敵なシーンは、一年中いつでも南国を感じさせてくれるミラクル・ワールドなワンダーランド、伊豆シャボテン動物公園です。
PS 素敵なシーン・ウォッチャー2号は、ワオキツネザルの魅力に憑りつかれ、どうしても欲しくなり、柄にもなくワオキツネザルのぬいぐるみを買って帰ったのでした・・・
伊豆シャボテン動物公園 公式ウェブサイト↓
https://izushaboten.com/