祝!日本遺産に選ばれた弥次喜多道中、藤枝市の足跡を辿る VOL 2 旅人が語り合った岡部宿の大旅籠柏屋 素敵なシーンウォッチング FILE34

旅の楽しみは、見る味わう泊まるですが、どれかひとつ欠けてもつまらない旅になります。前回の「宇津ノ谷峠、蔦の細道」の‟見る“から、今回のFILE34は‟泊まる”をレポートしたいと思います。

東海道の難所はあちこちにあり、「箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川」という有名な句があるように、当時の旅人は今では考えられない苦労の末に目的地に辿り着いたのだろうと宇津ノ谷峠、蔦の細道を当時を忍んで歩きました。そしてやっとの想いで山越えをして辿り着いたのが、岡部宿の大旅籠柏屋(おおはたごかしばや)です。
柏屋は、藤枝市岡部町の旧東海道岡部宿にある江戸時代の旅籠(宿)で、建物は国の登録有形文化財に登録されているほか、「主屋歴史資料館」として歴史博物館にもなっています。

岡部宿は品川宿から数えて21番目に位置する東海道の宿場町で、道中屈指の難所である宇津ノ谷峠を静岡市の丸子宿側から越えると最初に到達する宿。江戸時代後期の1843年(天保14年)の記録では、戸数487軒、人口2322人を数え、2軒の本陣を中心に商家や宿屋が立ち並び栄えていたと言います。柏屋はその中でも規模が大きく「大旅籠」と呼ばれ、家主の山内家は旅籠と質屋を経営するほか問屋や年寄などの宿役人も務める名家であったそうです。

江戸時代に建てられた柏屋は、建物そのものが資料館となっていて、みせの間、台所、1、2階の客室などは、当時の旅籠の様子、人々の暮らしぶりが一目でわかる様々な展示物があり貴重な建物になっています。当時を忍ばせる和風庭園は、四季折々の美しさが感じられる日本人の美的感覚を刺激するもので、旅人が癒されたであろう古の風景が蘇ります。中庭の周りには、季節によって様々な展示を行っている土蔵ギャラリーなまこ壁があり、訪れた日からは岡部宿に特化した浮世絵の展示がありました。

館長の大石さんに柏屋の歴史を伺って当時の旅人の苦労を知るごとに、この宿のありがたさたるものを感じずにはいられませんでした。特に宿が混んでいる時には、八畳の部屋に二十人の宿泊客が入れられたと言います。今でこそ「そんな凧部屋」に思うでしょうが、きっと当時の旅人たちは狭いながらも食事と布団がある安全な宿に安堵したのだろうと思いました。そして何より、今の様に情報がない世の中で旅人同士が自ら体験した出来事を語り合うこの宿には、何ものにも代えがたいコミュニケーションという魅力が満載されていたのだと思います。

今回の素敵なシーンは、大石館長の説明を聞きながら目を閉じると時空を超えて浮かんでくる、旅籠柏屋の中庭を望む縁側で弥次さん喜多さんが旅人たちと語り合う姿です。

旅籠柏屋
開館時間 午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日 月曜日及び年末年始(月曜日が祝日の場合はその翌日)
入館料 大人 300円(中学生以下は無料)団体20名様以上…240円
障害者手帳をお持ちの方及び介助者の方は無料です。
玉露の里との共通券…700円

街道を進む峠越えの旅人の様子
宇津ノ谷峠を超えると街道沿いに見えてくるのは「大旅籠柏屋」
昔の雰囲気を今に残す佇まい
建物の中には弥次さん喜多さんの人形があり、当時の旅人の雰囲気を想像することができます
武家専用の部屋は広く豪華な造り
部屋からは庭園を望むことができる
2階には一般の旅人用の8畳1間が2部屋
ここにも弥次さん喜多さんの人形があり、当時の食事を再現しています
一階の奥には仏間と奥の間
家主であった山内家の暮らしを垣間見ることができます

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