DESSERT MUSIC #33

「Upside Down」Jack Johnson  (11/ 16 オンエア)

見るものすべてに興味を示す、名前どおりの旺盛な好奇心を持った知りたがり屋の可愛い子ザル、ジョージが、主人公のテッドを追ってアフリカから大都会ニューヨークへ~世界14か国で翻訳され、合計2500万部の発行部数を誇る児童書、「キュリアス・ジョージ」が映画化され、サントラをジャック・ジョンソンが担当。♪新しい日がくる度に、生まれ変わった気分さ~世界はまわり続けているんだ、無駄な時間はないよ♪と歌うオープニング曲が「アップ・サイド・ダウン」。透明感のあるジャック・ジョンソンのヴォーカルがワクワクさせるような雰囲気を醸し出し、旅に出たくなる気分にさせてくれます。

弥次喜多道中は、「キュリアス・ジョージ」のようなほのぼのとした物語ではありませんが、当時の江戸末期の庶民の間では、意外と絵本を見るような感覚で「東海道中膝栗毛」を読んでいたのかもしれないなと感じたことからデザート・ミュージックに選んでみました。

旅は毎日が新鮮な冒険に溢れています。僕たちが宇津ノ谷峠を歩いただけでも、様々な出来事に遭遇しました。見るものもそうですし食べるもの、そして何よりも面白いのは出会う人々との交流です。一期一会かもしれない出会いから、その後長い付き合いになるかもしれない運命の人たち。弥次さん喜多さんは十返舎一九が作った創造上の人物たちですが、今の時代でも何処かにいそうな調子のよい二人で、この物語をちゃんと知らない人にでもイメージできる人物像であり、これが十返舎一九の才能が光るところだと感心した次第です。

ジャック・ジョンソンが歌う「アップ・サイド・ダウン」は、アコースティック・ギターをフィーチャーした暖かみのあるサウンドに、ジャックの声が優しい波のように流れ込んでくる癒しの世界があります。彼の魅力は、シンプルだが深く聴く者の心に入り込んでくる雑念のないスタイル。旅の魅力も同じく、日常を切り離して別世界に身を置くことで得られるシンプルな思考。歌詞にある「新しい日がくる度に、生まれ変わった気分さ~」とは旅自体の意味を歌っているだと宇津ノ谷峠から千貫堤のショート・トリップしていた時に、その意味に気が付いのでした!