何気に出会った天浜線の‟遠江一宮駅“は、時空を超えた幸せが宿る無人駅だった! 素敵なシーンウォッチング FILE30

鉄道王国日本は、全国各地に鉄道が張り巡らされていますが、都会の入り組んだ鉄道と田舎の鉄道では、その姿は大きく違います。特に閑散線区などの輸送量の少ない鉄道路線を走るローカル線と呼ばれる田舎の鉄道は、都心の鉄道の様にラッシュアワーや入場制限には無縁で、血気盛んな頭に血が上りやすい若者と縁側で膝に猫を抱いてお茶を飲むおばあちゃんくらい、その趣は違っています。

「ラジオで見る静岡」のロケは通常、ロケ車を使用して急ぎ足で静岡各地を奔走していますが、時には時間を気にせずにローカル線に乗って、ご当地の名物に舌鼓したいなと想いを馳せることも・・・この日も素敵なシーン・ウォチャーズは取材アポがある行楽地に向けて朝早くから車を走らせていると、田んぼの真ん中を走る一両編成の鉄道車両に出くわします。その姿があまりにものどかで、かつ健気な雰囲気を醸し出していることからどこに行くのか、付いて行きたくなったのです。線路に沿って東へ続く道を車で追いかけると、列車の行く手にあった駅が‟遠江一宮駅“(とうとうみいちのみや)でした。

遠江一宮駅は、1日の乗降客は50人から70人というローカル線を絵に描いたような無人駅。しかし、実はとんでもない魅力を秘めたローカル・スターな駅だったのです。

天竜浜名湖線は、静岡県の掛川市の掛川駅から浜松市天竜区の天竜二俣駅を経て、湖西市の新所原駅に至る天竜浜名湖鉄道が運営する鉄道路線。略称は天浜線(てんはません)で、遠江一宮駅の歴史は今から80年遡り、1940年に遠江森駅~金指駅間の開通時に、国鉄二俣線の駅として開業しました。しかしその後、遠州鉄道の気動車乗り入れが廃止され、1970年には手荷物・小荷物の取扱も廃止、同時に駅員無配置駅となり、1987年には二俣線が第三セクター鉄道に転換、現在の天竜浜名湖鉄道の無人駅となります。

浅田次郎の小説を映画化した故・高倉健さん晩年の傑作映画「ぽっぽや」の舞台の様な趣のある駅舎は、まるでタイムマシーンで連れてこられたかのような錯覚に陥ります。のどかな田園風景の中を走る一両編成の列車は上り下りともに1日26本。この日、ホームにいた人は、妙齢のご婦人と小さなお子さんを連れた2組のお母さん。話を伺うと、お子さんにねだられて列車のチェックをすることが日課になっているそうで、「無人駅だからこそ気兼ねなくホームで子供と一緒に列車を待てます」と都会の駅では叶わない幸せなひと時がありました。

そして幸せはもうひとつ。この駅舎は、2011年登録有形文化財として登録されているのですが、それだけでなく知る人ぞ知る美味しい手打ち蕎麦屋が駅舎内にあるのです。百々や(ももや)は、‟電車で訪れ「酒」と「蕎麦」を味わう、そんな小粋なひと時をお過ごしください“と謳う1時間に1本程度しか走ってない無人駅でも営業出来る凄腕のお店で、もり蕎麦、ざると田舎の2種類にお酒とビールのシンプルなメニューのみ。しかも蕎麦がなくなり次第終了という強気の構え!スタッフ全員、この味、ポリシーに正直惚れました!!

遠州の小京都、森町の無人駅、‟遠江一宮駅“は、古代の森・小国神社とあじさい寺と呼ばれる極楽寺への玄関口の駅として知られているそうですが、この駅だけでも充分訪れる価値のある素敵なシーンです。機会があれば、森町を探索してみたいという気持ちがふつふつと湧いてきたのでした!

店名 百々や (ももや)
TEL 0538-89-7077
住所 静岡県周智郡森町一宮2431-2 遠江一宮駅
営業時間 11:00~16:00
定休日 火曜日

一両編成が特徴の天浜線
掛川駅から新所原駅までをつなぐ天浜線
昭和15年作られた駅舎は登録有形文化財
駅前には大国主神のゆるキャラが?!
大国主神(おおくにぬしのかみ)は、日本神話に登場する神。国津神の代表的な神で、国津神の主宰神とされる。出雲大社・大神神社の祭神 。
列車のチェックをすることが日課のお子さんとご家族
美味しいお蕎麦を食べさせてくれる「百々や」
芳醇な蕎麦の香りとしっかりとしたコシ、繊細なツユが魅力
素朴な駅舎には昭和の雰囲気が残っていた

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