DESSERT MUSIC #19

「Space Oddity」David Bowie (8/ 10 オンエア)

グラムロックの先駆者で、畏敬の存在としてポピュラー音楽の分野で世界的名声を得るだけでなく、役者の世界にも進出し、数々の受賞実績を持つマルチ・アーティスト、デヴィッド・ボウイの1969年にリリースされたシングル盤。アルバム「スペ-ス・オディティ」に収録され、多数のミュージシャンにカバーされている、ボウイ初期の代表作です。

このアルバム「スペ-ス・オディティ」は、発売前年に公開された映画『2001年宇宙の旅』をモチーフにして制作。アポロ11号の月面着陸に合わせて、その直前にシングル「スペース・オディティ」をリリースし、全英チャート5位、全米チャート15位まで上がり注目を集めました。

そしてリリースから44年後の2013年、カナダのクリス・ハドフィールド宇宙飛行士が国際宇宙ステーションでこの曲を(歌詞を少し変えて)歌い、宇宙で録音・撮影された初のミュージックビデオとしてYouTubeで公開されたことも話題になりました。

このビデオは、ボウイから1年間のライセンスを受けて公開されていたもので、1年後に削除(現在は、要望の多さに再公開されています)されましたが、公開中には2,200万回のアクセスがあったそうです。この楽曲にはピアノ、ドラム、メロトロン、ファズの効いたベースのほかに、ハドフィールドさんが宇宙から音楽共有サービスSoundCloudにアップロードした国際宇宙ステーション内の環境音も使用されているとのこと。よって宇宙で録音・撮影された最初のビデオ映像として認知され、宇宙でしか作れない映像と音を楽しむことができるのです。

カナダのクリス・ハドフィールド宇宙飛行士が、宇宙で収録した初の音楽ビデオ「Space Oddity」

今回のデザート・ミュージックが映画『2001年宇宙の旅』をモチーフにした「スペース・オディティ」なのは、宇宙船の中は一般人が想像する以上に孤独で、しかもともすれば恐怖心が芽生えるだろうと思うことから、六枚屏風の割れ目の空間に入った時に、ボウイが想像した架空の物語の主人公トム少佐の心理が窺えたからです。

残念なから宇宙空間を体験したことはありませんが、その世界では生も死も超越した異次元の空間と感覚、そして観念が創造されるのかもしれないとも感じるので、意外と心地よい空間であるかもしれないですよね。黄泉の国とつながる六枚屏風は、宇宙空間にいる感覚と似ているかもしれないと感じる素敵なシーンでした!