DESSERT MUSIC #14

「I When Love Hangs In The Balance」Ned Doheny (7/ 6オンエア)

陽ざしが強くなった初夏のお昼前。平日だけど今日は何もしないぞと決め込んで、冷蔵庫から缶ビールを取り出してベランダに向かう小市民のささやかな幸せなひと時のBGMが、このAORの定番と言えるネッド・ドヒニーのアルバム「ハード・キャンディ」です。

ネッド・ドヒニーは、1948年アメリカ合衆国カリフォルニア州生まれ。少年時代にサーフィン・ミュージックに影響を受けて1970年前半から音楽活動をスタートさせます。ママス&パパスのキャス・エリオットやトラフィックのデイヴ・メイソンなどに楽曲を提供し、活躍の足がかりにします。1973年ファースト・アルバム「ネッド・ドヒニー」をアサイラム・レコードより発表。76年コロンビアに移籍し、セカンド・アルバム「ハード・キャンディ」を発表。

ボス・スキャッグス、リンダ・ロンシュタット、ジャクソン・ブラウンらAORの全盛の中、日本ではこの「ハード・キャンディ」のLPジャケットのセンスの良さで一躍ヒット・アルバムとなるのですが、本国ではさほどの知名度は得られず、このアルバムが代表作になっています。

彼はドヒニー通りという名前の道路があるほど成功した家の生まれのお坊ちゃま君で、世界のサーフ・ポイントを旅して周るのが趣味という、ドノバン・フランケンレーターより以前にフリー・サーファーであった自由人でもありました。

選曲理由は、切ないメロディーに寄り添うドヒニーの清涼感漂うヴォーカルに加えて、リンダ・ロンシュタット、J.D.サウザーらの透明感あふれるバックヴォーカルが、屏風岩から流れ出る清流のように感じたからなのです。